きらめき水

500mLと水溶性

透明な坂の上

 

『星を編む』|本のあらすじ・感想・レビュー・試し読み - 読書メーター

※ネタバレあり

めっちゃくちゃ久しぶりに読書メーターを開いた人。Xと連携できるし漫画も登録できるんだからもっと活用しなきゃな…。ということで先週の水木の通勤時間に電子書籍で読み終えました。この話はあくまでサイドストーリー集であって、その原作?本尊?大元にあたる汝~の方は去年の8月末に読んだ。ので、普通に話を忘れかけてたよね。(笑)久々に何かを見て泣いた「春に翔ぶ」に関しては、終盤の終盤までガチのオリジナルの話だと思ってたレベルの体たらく。そんで汝って確か、先生が月に1回元交際相手と逢瀬することになってたよね?明日見さんの行方わからなくなったけど!?とか慌ててた。落ち着けって。

3編とも登場人物たちの身に降りかかるのは暗い出来事ばかりだし、想像すらしてなかった角度から最悪が差し込むのは前作と同様。*1ただ、北原先生の生い立ちがあまりにも苛烈で(少なくともわたしにはそう見えた)、結果的にボロボロ泣くことになったのは最初の1作だったな。本当に辛すぎるんですけど…。汝然り今作然り、自分が目の当たりにした愛だけを信じて、自分が漂着した先で普通には程遠くとも、なかば荒唐無稽に見えるような手段を選んでいて。それでもどうにか生きるために、手を取りあって生きていく人たちの姿が限りなく実在性をもって描かれているからもう、胃がずっと痛い。それから個人的にぐちゃぐちゃになるのが、各登場人物と親との関係でさ~…。前作でも散々痛感させられた、親と出自は選べないということから来る理不尽と痛ましさに北原先生の過去編でもじわじわと心をえぐられたのがまーーじでしんどかった。ここまで気持ちを絞め上げられることも早々ない。しかも、暁海に至っては異分子である瞳子さんが先に亡くなって、物語の終わりまで両親はそれぞれ生き続けてるんだよね。そういうところも引っくるめて、親という断ち切れない存在がどういう人だったか、どういう家庭を守っていたかってところが子供の大事な部分を作り上げていくんだと思うとマジででっかいため息が出る。いやフィクションなんですけどね…。フィクションなのにここまで食らってるのがすごいという話でもある。学生の時にバイト先で真っ赤なスニーカーを履いた3歳くらいの男の子を見た時に、これを選んで履かせてるのは親なんだよな、小さな子供が身に付けるものは全て親のセンスに依存してるんだなーってなんとなく思ったことがあるけど、ふとそれを思い出した。

その後に続く二階堂さんや結ちゃんの話でもグッサリ刺されるところがあって、そもそも他人をコントロールするって発想が傲慢だし、わたしだってされたくはないけど、でも自分以外の他人と生きるということは制御不可能な存在と覚悟を決めて人生を続けるということであって…。はーー気が滅入ってきた。やっぱり他人と生きていくなんて無理だと思ってしまう。恋だとも愛だともいえない結び付きで繋がるふたりもいれば、順当に結婚した後に別れを選ぶふたりもいて、これもう本当にわかんねえ。そう思うと高校からずっと関係が途切れることのなかった暁海と櫂はすごすぎるんだなと…。ずっとふたりが眩しいよ。「わたしの美しい庭」の「たった一日っきりの稲妻のような真実を抱きしめて生き抜いている人もいますもの」を浮かべて並べては腑に落ちる。でも本作がなかったらわたしは汝を読み返そうとすら思わなかった。笑 それくらい読後に負ったダメージがでかかったんや…。家族曰くまじで1週間くらい目が虚ろだったらしい。ちゃんとこれにて完!って思えたし、希望もたくさんあった。間違いなく2冊とも読まなきゃだめだったね。

 

「いかに自分らしく生きたか、最後に残るのはそれだけよ」

時間は蛇行する川のようにゆるやかに、あるいはごうごうと流れていく。川幅は次第に広くなり、やがて海へと辿り着く。波間から顔を出すと、頭上には煌めく夜空が広がっている。生きていくということが、そんなふうであるようにと願う夜だった。

その一方で、わたしたちのこの連帯をなんと呼べばいいのだろう。

 

 

久々に別媒体で書いたやつを読み返したけどその記事は自分でもけっこう好きな方かも。ここに書いた人と今年の頭に縁を切ったっていう思い出補正もありますが(どんな?)。今となっては恥ずかしくなるようなことばっかり書いてるけど、なんだかんだ書いておいてよかったなって思う…思うよ!

 

open.spotify.com

それはそうとして、物語のラストを読んでこの曲を思い出さずにはいられなかった。笑 わたしも死ぬまでに、ここに還れるなら怖くないと思える場所を見つけないといけないなとぼんやり思いました。わたし、まだ若いかな。大丈夫だよね。わたしにもきっとあるそれを探し出したい。

 

*1:今本棚から引っ張り出した植物図鑑を10年ぶりくらいに読んでるんだけど、さやかが土手の適当なところにチャリを置いていくシーンでこれ凪良作品だったら絶対盗まれてるか燃やされてるかカゴに何か入れられてるかのどれかだろ…の感情になった(※有川浩なのでちゃんとチャリで帰れる)